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​令和2年7月豪雨 REBORN PROJECT

 REBORNプロジェクトとは、令和2年7月豪雨で水損した八代市坂本町に残る古いネガフィルムをクリーニングの上、デジタル化し保存する活動です。さらにその写真を展示や冊子などの形にすることで、坂本という土地の記憶を共有し、記憶の再生(REBORN)を目指すものです。

 

 これらのネガや写真は、地元アマチュア·カメラマン、故·東儀一郎氏、本村孝夫氏らが撮影したもので、昭和20年代後半~平成初期までの旧坂本村などの様子が写し出されています。同町でラフティング会社「Reborn」を営むリバーガイド·溝口隼平氏が資料として譲り受け、整理·保管してきました。

 しかし、今回の水害でその多くが水没したことをきっかけに、有志が立ち上がり、レスキュー作業にあたってきました。本誌の写真には、経年劣化含み水害時の影響であるだろうと思われる、色の劣化、ネガの乳剤剥げ、残った紙繊維など、あえてそのままの状態でプリントをしています。

 この活動にご協力、ご理解をいただき写真掲載の許可をくださいました、故·東儀一郎氏、本村孝夫氏のご親族の方々に、心より感謝申し上げます。

今回掲載した写真の中にはポートレートを数多く含んでおり、一部許可をいただけたものもあります。しかし、半世紀以上前の写真も多数あるため、全ての人物の特定·許可を得ることはかないませんでした。先に、お詫び申し上げます。

現在はネガのクリーニング、デジタル化、保存袋の入れ替えなどが完了しました。

 もしご本人、ご親族、お知り合いの方など写っておられた際は、お手数ですがご連絡いただけますと幸いです。写真や本誌を責任持ってお届けしたいと思っています。

写真の復元及び本記録集の編纂は、日本財団及び熊本放送文化振興財団からの助成金を受けて実施し、坂本町の方々へは無償で配布しています。

 

 また、ドネーションブックとして販売した本誌の売り上げは、書店販売などの販売手数料および必要経費を除き、復興活動を通して寄付することとします。※2021年8月に本は完売し、ドネーションが完了しました。

水損ネガクリーニング作業報告

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令和2年7月豪雨で水損した八代市坂本町の古い写真ネガをレスキューする「REBORNプロジェクト」の実施においては、写真家·豊田有希の声がけで、熊本のカメラマンやクリエーター、学芸員等が、ボランティアグループ「あめつち」を結成し、その活動にあたってきた。

その活動は、①水損ネガのクリーニングと保存及びデジタル化、②プリント写真の展示及び記録集の発行を大きな柱としている。

 

 1.水損ネガのクリーニングと保存及びデジタル化作業

 

水損ネガのクリーニングにあたって、最も頭を悩ませたのがコロナ禍における作業の実施であった。水損資料のレスキューにあたってはスピードが重視されるが、泥付きの資料自体が汚染されている可能性と、またスタッフが同一空間で作業することによる感染拡大を防ぐために、「換気のできる広い空間の確保」「検温·手洗い·消毒の徹底と手袋·マスク等の着用」「作業スタッフの人数制限」を念頭において、つなぎ美術館と熊本市現代美術館を主会場に、以下の活動を行った。

 

まず、水損資料の全貌を把握するために、水没し固着した状態だったDP袋を小分けにし、中にあるネガやプリントをリスト化する作業を行った。水損資料取扱い経験のある学芸員と協議しながら、〇(画像がほぼ残っているもの)、△(一部画像が残っているもの)、×(画像が残っていないもの)と判定を行いながら、袋に入った資料の状態を撮影し、全体の個数や、DP袋に記入された情報を読み取り、全体のリスト化を行った。並行して、水の入ったスリーブを開封して、水や汚れを落とし乾燥させ、反りやカビがでないように、中性紙をはさんで保存した。

 

資料内容としては、6x6ネガフィルム114本、35㎜ネガフィルム78本、6x4.5ネガフィルムがバラで2本分程、紙資料が11枚を確認。木箱に入り水損していた内容に関しては、画像が半分以上残っているものが54本、一部残っているものが28本、ほとんど残っていないものが25本であった。DP袋に同封されたプリント写真は、すべて画像が流されていた。もう一つ、水没しなかった小型コンテナボックスが1箱あった。そのボックスの状態は、浸水とみたれる水損は外側4本で、その他は経年劣化と水損時の湿気は見られたものの大きなダメージは見られなかった。

 本来、水損紙資料のレスキューは48時間以内とされるが、本作業においては、ボランティア作業であること、またコロナ禍でその後の作業環境に予測がつかなかったため、3日間で「できることを、できるしこ」行うにとどめた。その後、水損ネガ及びプリントのデジタル化作業を行い、延べ2167カットをデータ化した。

 2.プリント写真の展示及び記録集の発行

川を中心とする記憶の継承·共有を目的とする本活動では、プリント写真の展示及び記録集の発行を計画している。幸いなことに、2カ所から活動資金の助成を得ることができ、水損ネガの実物及びプリント等の展示を熊本県内など順次行う予定だ。また、坂本町では被災された住民の方々が仮設住宅や町外へ住むことを余儀なくされていることから、坂本町へ帰るきっかけ作りや会話の種となるように、坂本町での展示も計画している。それにあわせて、本記録集の編集·発行準備を行ってきた。本誌は、坂本町民の方に無料配布するほか、ドネーションブックとして一般販売し、その収益を「Reborn」を通して、町の復興に寄付する予定である。

 

今回のボランティア活動は民間ベースで、人や時間、予算に限りがあり、本来であれば、もっと多くの資料をレスキューできたのはという反省点も多数ある。しかし、今回得たノウハウやネットワークを、今後起こり得る災害において、写真を中心とする文化的資料が被害にあった際に活用できればと考えている。

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